新型タバコもお口の環境に悪影響!?
はじめまして、都立大学駅前で歯科医院を開業している、歯科医師の萩尾信輔です。
今回は、前回のタバコによるお口の中への悪影響に引き続き、新型タバコと言われているiQOSなどの加熱式タバコやVAPEなどの電子タバコの歯科的な影響についてお話したいと思います。
タバコの種類
タバコの葉を原料に使用したもの
以前からある通常の紙巻タバコ、葉巻タバコ、パイプなどを用いる刻みタバコ、嗅ぎタバコなどは、全てタバコの葉を使用している物で、ニコチンはもちろんホルムアルデヒドなどの発がん性の有害物質が含まれています。
そして、iQOSなどの加熱式タバコも同様に、タバコの葉を原料にし、それを火ではなく電気で加熱し、発生した蒸気を吸引します。
ですので、iQOSなどの加熱式タバコも目に見える煙が出ないだけで、ニコチン含む様々な有害物質を含みますし、周りの人々にも通常タバコの受動喫煙と同等に被害が出ます。
タバコの葉を原料に使用していないもの
電子タバコは、タバコの葉を使用せず、カートリッジ内の液体を電気で加熱し、霧状になった目に見えない煙を吸引します。
日本国内では、薬事法によりニコチン入りリキッドは購入出来ませんので、ニコチンは入っていません。
しかし、個人輸入等でのニコチン入りリキッドが出回っているのが現状のようです。
新型タバコがお口の環境に与える影響
iQOSなどの加熱式タバコ
タバコの葉を原料に使っていますので、『知ってほしいタバコによるお口の環境への悪影響』でもお話したように、通常の紙巻きたばこと同様に歯周病の悪化、治癒の遅延を招きます。
有害物質の摂取量が少ないという内容で宣伝されていますので、勘違いされている方もいらっしゃいますが、喫煙者はニコチンの血中濃度が一定に達し、満足感が得られるまで吸い続けますので、ニコチンの摂取量は少なくなりません。
そのため、リスクは紙巻きタバコと同等と考えられます。
VAPEなどの電子タバコ
日本で販売されている物に関しては、主成分はプロピレングリコールと植物性のグリセリンで、ニコチンは入っていませんが、電子タバコの安全性に関しては、普及から日が浅いため、データがありませんが、安全性もまた証明されていません。
そのため、歯科医師の意見としては、電子タバコもお勧めできません。
タバコの歯科における最大のデメリット
タバコの影響は、歯茎や歯の着色など様々考えられますが、やはり歯を支える歯周組織への影響が最も大きいと考えられます。
喫煙者は、歯周炎を患っている数が多く、重症度も高いです。
そのため、歯を残すために、歯周治療が必要になりますが、歯周治療に対する反応が悪く改善が難しいです。
また、重篤度が高い場合には、通常であれば歯周組織再生療法と呼ばれる外科処置を行いますが、喫煙をしていると、歯茎の血行が悪くなるため、再生療法の成功率が大きく下がります。
そうなると、やはり歯を失う確率が非喫煙者に比べて、高くなってしまいます。
歯を失った後には、入れ歯、ブリッジ、インプラントの選択肢がありますが、インプラント治療を選択される場合には、インプラント治療は外科処置ですので、その場合にもインプラントが悪くなるリスクを抱えることになります。
以上のように、タバコによる影響は様々な場面で、リスクを抱えることになります。
まとめ
前回と合わせて2回に分けてお話した、喫煙に関するお話をおしまいにしたいと思います。
現在、通常の紙巻タバコを吸っている方は約50%程、新型タバコと併用している方は30%程です。
新型タバコのみを喫煙している方の中には、ご自身が喫煙者ではないと思われている方もいらっしゃいます。
そのような方にも、タバコの影響について知って頂ければと思い書かせて頂きました。
また、喫煙者の方には、ご自身の健康のためにも、是非とも禁煙にチャレンジして頂きたいと思っています。
現在は、医科の分野において禁煙外来もあり、禁煙補助薬もありますので、是非活用してみて下さい。
最後までお読み頂きありがとうございました。