これで解決!知覚過敏の治し方とセルフケア
冷たい飲み物や甘い食べ物で歯がしみた、そのような経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
虫歯になってしまったかと不安になり、ゴシゴシ入念に歯磨きをしていると、歯ブラシの時や口をゆすぐだけで、ますますしみるようになってきてしまったという方もいらっしゃると思います。
今回は、そのような症状が出やすい知覚過敏について、お話していきたいと思います。
知覚過敏の症状
・冷たい物でしみる
・甘い物でしみる
・歯ブラシでしみる
上記のような症状がある場合には知覚過敏の可能性があります。
しみる症状、痛みは一瞬で痛みは長くは続きません。
教科書的には「30秒以内」に治まるものとされています。
(残念ながらこの科学的根拠はありません)
知覚過敏による歯のしみる原因
知覚過敏(象牙質知覚過敏症)とは、冷たい水や歯磨き時の刺激に対して、歯と歯茎の境目や歯の根の部分の感覚が過敏になって発症する、一時的な痛みを伴った疾患です。
【主な原因】
・歯肉退縮(歯茎の位置が下がること)
・不適切な歯磨き
・ブラキシズム(歯ぎしり等)
・酸性の物の過剰摂取
・胃酸に酸食症(逆流性食道炎等)
※虫歯や歯髄炎、歯のヒビ、歯の破折でも、しみる症状が発症する場合がありますのでご注意下さい。
ご自宅での知覚過敏の確認法
・冷たい飲み物を口に含んでみる
・歯ブラシで気になる所を当ててみる
ご自身で確認する際の注意点
温かいものでしみる、噛むと痛い、何もしていなくても痛む等がある場合には知覚過敏ではない可能性があります。
また、冷たい物や温かい物を試しに何度も飲むことにより、症状が悪化する場合がありますので、そのようなことは避けるようにして下さい。
痛みの長さが大きな指標になります。
知覚過敏の痛みは「一過性」、余韻の続くような痛みの場合は、一度歯科を受診してみましょう。
知覚過敏の治療法とご自宅でのセルフケア
ご自宅でのセルフケア
適切なブラッシング
ブラッシングの強さを弱め、やわらかめの歯ブラシを用いる、歯茎の付近を磨き過ぎない、これはご自身での知覚過敏のセルフケアで最も気を付けて頂きたい事です。
適切な力での的確な歯磨きは意外に難しく、知らず知らずのうちに磨く力が強くなったり、同じところばかりに歯ブラシの毛先が当たってしまっている方が多くいらしゃいます。
ですので、歯ブラシの仕方は既に知っているよという方も、当院では磨き残しの染め出しを行い、適切な力での的確な歯磨きが出来るようにブラッシング指導を行っております。
酸性の強い物の摂取を控える
炭酸飲料、お酢、柑橘系の果物などは知覚過敏症状がある場合には控えた方が良いと思われます。
口腔内を酸性の状態にしない
食後にうがいを行うことでお口の中を出来る限り酸性状態にしないように心がけて下さい。
酸性の強い物を食べた後すぐに歯磨きすることを避ける
通常の食事であれば食後すぐの歯磨きでも問題はないと考えます。
食後30分は歯磨きしないという話がありますが、これに関しては根拠となる論文が日常生活での環境と異なるため厳密に考える必要はないと考えます。
虫歯、歯周病を考慮するとすぐに磨いて頂いた方が良いと思います。
知覚過敏抑制作用のある歯磨き剤、研磨剤無配合の歯磨剤を使用する
通常市販の歯磨き剤には、ほとんどの物に研磨剤が入っています。
研磨剤が入っていることにより、歯は磨かれツルツルになりますが、その反面、歯も削れますので知覚過敏を促進させることになります。
ですので、当院では知覚過敏ではない方にも、ブラッシングによる歯のダメージを減らすために研磨剤無配合の歯磨き剤を推奨しています。
※改善が見られない場合には歯科の受診をおすすめします。
歯科医院での治療法
①まず知覚過敏であることの診査診断
その後ブラッシングの状況(歯ブラシの硬さや磨き方等)や生活習慣を踏まえた上で、アドバイスをさせていただきます。
②知覚過敏抑制材の塗布
知覚過敏抑制材にはいくつかの種類がありますが、それをどの順序で使うかが非常に重要です。
それが治療結果に大きく関わってきます。
これに関しては別の機会に書きたいと思います。
③経過観察
基本的には、知覚過敏の原因の除去と知覚過敏抑制材の塗布で経過を見させて頂きます。
それでも症状が続くようであれば、歯茎の移植(ルートカバー)、スプリント(ナイトガード)、ボトックス、レーザー治療などを患者様の状況に合わせて選択していきます。
知覚過敏の予防法
・歯ブラシを軟らかめにする
・歯茎の近くを磨きすぎない
・研磨剤不使用の歯磨き剤もしくは知覚過敏抑制作用のあるものを使用する
・酸性の強い物の摂取を控える
・くいしばりを予防する(マウスピース、ボトックス)
まとめ
現在、虫歯や歯周病の予防の意識が高まり、歯と歯茎の間を入念に歯磨きをされる方や、長時間の歯磨き、電動ブラシの間違った使用などにより、以前よりも知覚過敏の症状を訴える方が多いと感じています。
もちろん歯と歯茎の間に磨き残しがあれば歯周病や虫歯になるリスクは上がりますが、やり過ぎると歯茎下がりや歯の摩耗が生じてしまうのも事実です。
知覚過敏がある人もそうでない方も一度歯科医院でのブラッシング指導を受ける事をお勧めします。
そこで適切な歯ブラシの仕方を習得出来れば、虫歯、歯周病、知覚過敏など様々な口腔内疾患のリスクを軽減する事が出来ると思います。
今後はブラッシングについてもブログにてお伝えしたいと思いますので、その際にはご一読頂ければと思います。