都立大学萩尾歯科クリニック
                   
  • 都立大学萩尾歯科クリニックの診療予約電話番号:0364595865
  • 都立大学萩尾歯科クリニックWEB診療予約
  • 都立大学萩尾歯科クリニックメール相談

【診療時間】10:00~13:30/15:00~19:30(土日 10:00~13:30/15:00~18:30) 休診日/祝日・日曜(一部休診)

Dr.HAGIO's 歯科ブログ

知って安心!抜歯後の注意点とドライソケット

【監修・執筆】 萩尾 信輔
【監修・執筆】 萩尾 信輔 都立大学HAGIOデンタルクリニック院長・歯科医師

今回は、歯を抜いた後に注意して頂きたい内容と起こってしまうと強い痛みが出やすいドライソケット、そして、しばしば起こる開口障害についてお話させて頂きます。

これを知っておくことで、歯を抜いた後の痛みや腫れのリスクを軽減でき、症状が出た場合にもご自身での現状の把握がしやすくなると思います。
特に、強い痛みの原因になりやすいドライソケットは歯を抜いた後の行動によって引き起こされる事も多く、予防が大切になってきます。

開口障害についても、その原因を知ることにより気持ちの安心に繋がると思います。




抜歯後の注意点


・強いうがいをしない
歯を抜いた後は、血の塊が歯を抜いた部位を覆い、かさぶたのようになります。
強くうがいをしてしますと、そのかさぶたが剥がれてしまい治りが悪くなります。

・口をゆすぎすぎない
歯を抜いた後は1~2日は血が滲んだり、血の味がすることがあります。
気になって口をゆすぐと更なる出血を促し、血が止まらなくなったり、痛みの原因になります。

・当日は長風呂をせず、シャワー程度が望ましい
体を温めることにより、血行が良くなり、血が止まりにくくなります。
また、温めることにより疼いたり、腫れを助長することになります。

・傷口を触らない
感染や血のかさぶたが取れてしまうリスクがあります。

・麻酔が切れるまで食事は控える
麻酔が効いていると、感覚がないため周囲の唇や頬を咬みやすく、また熱いものも感じないため火傷をする可能性があり、その後の痛みや腫れに繋がります。

・アイシングしすぎない
抜いた部位が腫れ、熱を持つことがありますが、氷などを使った過度のアイシングは血の流れを止めてしまい血液が固まり、傷が治るのを遅くしてしまいます。

・激しい運動は控える
血流がよくなり、出血の原因になります。

・当日の飲酒を控える
飲酒も血流を促しますので、出血や痛みの原因になります。

・喫煙を控える
喫煙により血行が悪くなるため、治りが悪くなります。

・歯ブラシをあてない
歯ブラシが当たることにより、傷口が開く場合がありますので、特に糸で縫っている場合にはご注意下さい。

・お薬は決められた量を飲むこと
お薬は指定されたタイミングで指定された量をお飲み下さい。
特に抗生剤は感染防止のために処方されますので、痛みに関わらず最後まで飲み切って下さい。
アレルギーや吐き気などの副作用が出た場合には、服薬を中止後、担当医に連絡して下さい。


ドライソケットについて


歯を抜いた後にドライソケットについて説明を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、そのドライソケットについてお話したいと思います。


ドライソケットとは


歯を抜いたところの骨が露出してしまった状態のことをいいます。

通常は抜歯したところには血の塊ができ、かさぶたのような役割をして抜歯後の歯茎の穴を覆って塞ぎます。
この血の塊を歯科では『血餅(けっぺい)』といいます。

なんらかの原因で血の塊が流れてしまい、骨が露出すると食べかすなどが入った時に鋭い痛みを感じます。
抜歯後は2〜3日程度で痛み止めが不要なくらいまで痛みは引きますが、ドライソケットになると10日~2週間、長い場合で1か月続くこともあります。

ドライソケットは歯を抜いた翌日から症状がでるので、翌日の観察は重要です。
しかし、翌日は問題がなくても3~4日経過しからドライソケットになる場合もあります。
そのままにしておくと、痛みが増すだけでなく、骨も炎症を起こしてしまう事もあるため処置が必要になります。

症状は骨の露出部位が小さければ冷たいものがしみる程度、露出部位が大きければズキズキした痛みが持続し、時には神経痛のような激痛となり、痛み止めなしには過ごせない状態となります。
周囲の歯茎には腫れや発赤などの炎症症状がないことが多いです。


ドライソケットの原因


ドライソケットの原因は、抜歯後にできるはずの血の塊(血餅)がうまく作られないことです。

うまく作られない一番の原因はうがいのしすぎです。
うがいをしすぎると血の塊ができにくく、流れてしまうためです。

また、たばこを吸う方は出血の量が少なくなるためドライソケットになりやすいです。

年齢が上がると若い方に比べて、歯が癒着を起こしていることが多いため、骨が緻密化してドライソケットになりやすい傾向にあります。

・うがいのしすぎ
抜歯をすると、ガーゼを患部にあてて血が止まるまで咬むように言われますが、これはしっかりと止血を行うとともに血餅を作るためです。
血餅はできあがるまでに時間を要する上にできたばかりの血餅は脆く剝がれやすいため、うがいのしすぎてしまうと血餅は剥がれてしまいます。

・抜歯した部分を触る
抜歯後の穴があいた部分が気になってしまい、知らず知らずのうちに舌で触ったり、指や歯ブラシなどで触れてしまうと血餅が剥がれてしまいます。

・お酒や運動、長風呂などにより血行が良くなること
お酒や運動、長風呂などにより体内の血のめぐりが良くなると、血が止まりにくくなってしまいます。
出血が多いほど血餅はできやすくなりますが、血が止まらないことにより口の中が不快に感じ、うがいを多く行ってしまう可能性があります。

・喫煙
喫煙はお酒や運動、長風呂などとは逆に血のめぐりを悪くしてしまいます。
血の巡りが悪いと、抜歯後に十分な血が出にくく血餅が作られにくくなるためドライソケットのリスクを高めてしまいます。


ドライソケットの対応法


ご自宅での対応方法


抜歯後2~3日たっても痛みが改善されず、ドライソケットが疑われる場合、まずは痛み止め、抗生物質を飲みましょう。
そして、上述したドライソケットになりやすい行為を避けます。

特に、歯を抜いた後の痛みがひどく、急遽来院される方は喫煙をされている方が多いので、抜歯後は禁煙を強くお勧めします。

完全にドライソケットになってしまった場合には、ご自身での痛みの抑制は難しいです。

痛みが落ち着かない場合は我慢せず歯科医院に行きましょう。


歯科医院での対応方法


・抜いた穴を洗浄、消毒し、軟膏を歯を抜いた穴の中に塗ります。
・痛みが強く継続する場合には、再掻爬という歯を抜いた部分に再度麻酔をして内部を引っ掻き出血させて血の塊を作る処置を行います。

抜歯後の開口障害について


開口障害とは、歯を抜いた後に口が開けにくくなることです。


開口障害の原因


歯を抜いた直後からの開口障害


歯を抜いた周囲の筋肉が、抜歯により反応性の腫脹が起きたことが主な原因です。
腫脹とは腫れのことです。

また、歯を抜いた後の痛みがある場合も開口しにくくなります。
抜歯をするにあたり、歯の周りの組織は体の防御機序により炎症がおこるため、歯を抜いた後の腫れは避けられません。
腫脹は程度の差はありますが、全ての場合にでる反応です。
術後の腫れによる開口障害は歯を抜いた後24~48時間がピークで約3~5日間続きます。

また、腫脹以外の原因は糸で傷口を縫ったことによる組織の緊張があります。
開口すると術部周辺の粘膜が糸によって引きつることから起きますが、これは縫合糸を抜去することで解決します。

稀ですが、歯を抜いたことによる骨折が原因の場合もあります、この場合には痛みによる開口障害を起こします。



歯を抜いた後、1週間程での腫れや痛み開口障害が出た場合


歯を抜いた後、1週間ほど経過してから発現する症状がある場合には、術後の感染を疑います。
この場合、抗菌薬だけでは治癒しない場合があり、口腔内または口腔外からの消炎手術が必要になる場合がありますので、担当医へご連絡下さい。


まとめ


歯を抜いた後は腫れなどの体の防御反応が起こったり、ドライソケット、感染が起こる可能性があるため、抜歯前は体調を整え十分な睡眠をとり抜歯後は安静に過ごし、当日の飲酒も控えてください。

歯を抜く前の全体のクリーニングも抜歯後炎症を抑えるために重要なため、急を要さない抜歯の場合は、一度全体のクリーニングを行うことをお勧めします。

また、歯を抜いた後は抜歯後の注意事項、薬の服用をしっかり守り、違和感や痛みが続くようであれば我慢せず歯科医院での適切な処置を受けるようにしましょう。


戻る