歯医者さんで耳にするPMTC、エアフローとは
こんにちは。
都立大学駅前で歯科医院をやっております、都立大学HAGIOデンタルクリニック院長・歯科医師の萩尾信輔です。
今回は、歯科医院で定期検診や歯のクリーニングを受けた際などに、説明を受けた経験があると思われるPMTCとエアフローについて、通常の歯のクリーニングと何が違うのか、どのようなメリットがあるのかをお話させて頂きたいと思います。
（PMTCは、広義では、歯科医院での歯のクリーニングそのものを指してお話される方もいらっしゃいますが、今回は狭義の意味合いでのPMTCについてお話させて頂きます。）
PMTC（Professional Mechanical Tooth Cleaning）について
PMTCとは
歯科医院で行われる専門家による徹底した歯面清掃をPMTCといい、Professional Mechanical Tooth Cleaningの頭文字をとってPMTCと呼びます。
専用の機器やそれぞれに特徴のあるブラシや様々な研磨剤などを使用して、歯磨きでは落とせない歯石や磨き残したプラークを中心に全ての歯面の清掃と研磨を行い、う蝕や歯周病になりにくい環境を整えます。
これだけ聞くと、通常の保険診療の範囲内での歯のクリーニングとの違いが分からないと思いますので、詳しく説明させて頂きます。
通常の歯のクリーニングとPMTCの違い
最も違う点は、歯の表面の研磨及びコーティングになります。
通常、保険診療の範囲内で行われる歯のクリーニングは、歯石やプラークの除去のみ、もしくは簡単な研磨に留まります。
しかし、メンテナンスにおいて最も重要なのはクリーニング後の研磨になります。
もちろん、歯石やプラークを取り除くことはとても重要ですが、その後の日常生活においては歯をできる限り清潔に保つために歯の研磨がとても重要になってきます。
なぜなら、歯石やプラークの除去で用いられる超音波スケーラーや手用スケーラーによって、歯の表面が傷つけられるためです。
傷ついた表面は、再度、歯石やプラークがつきやすくなりますので、歯周病や虫歯予防の観点から見ると、好ましくありません。
そこでしっかりと研磨をして、傷をなくし、汚れが付着しづらい環境を整えることでメンテナンス効果を上げていきます。
PMTCの効果
専用の機器を使用して、細菌の塊であるバイオフィルムごと剥がしとることにより、汚れや着色の付着を抑え細菌の繁殖を抑制する事ができます。
磨き残しや細菌は歯のザラザラしている部分に付着しやすくなります。
そのためPMTCを定期的に行うことで歯の表面をツルツルに維持でき、虫歯や歯周病予防につながります。
また、リナメルと呼ばれる歯のコーティング材や歯についた傷を修復してくれる材料を使用したり、歯の石灰化を促す方法としてPMTC後にフッ素塗布を行うのも効果的だと思われます。
PMTCの最大の目的
患者さんのセルフケアでは落とせないバイオフィルムの除去、傷ついた歯面の研磨、それによる歯垢や歯石の再付着の予防です。
バイオフィルムとは様々な細菌が集まってつくる歯の表面の膜のようなものです。
ねばねばと張り付いていて、うがいや歯ブラシでは簡単には落とせません。
バイオフィルムの除去によってう蝕と歯周病の予防に繋がります。
エアフロー（ジェットクリーニンング）について
エアフローとは
PMTCの一つで歯面清掃を行こなう機器の一種で非常に細かいパウダー粒子をジェット噴射で歯に吹きかけて、歯にこびりついた汚れや着色を除去することができるものです。
具体的には、細やかなパウダー状にした炭酸水素ナトリウム（重曹）やグリシン（アミノ酸の一種）を強力なジェット水流で歯に吹き付けて汚れを落とします。
歯の表面に付着した細菌の塊や茶渋、タバコのヤニ、ワインやコーヒーといった着色を水圧とパウダーの力で、超音波スケーラーや手用スケーラーなどの通常のクリーニング機器では届かない細かな部位まで落とすことができます。
エアフローの利点
歯の表面に付着した細菌の塊や茶渋、タバコのヤニ、ワインやコーヒーといった着色を、水圧とパウダーの力で、超音波スケーラーや手用スケーラーなどの通常のクリーニング機器では届かない細かな部位まで落とすことができます。
また、最大の利点として挙げられるのが、歯の表面を傷つけずに着色や汚れを落とす事が出来る点です。
エアフローはこのような方にお勧め
歯の着色が多い方、着色がつき易い方にエアフローはお勧めです。
また、セラミックやインプラントなど治療済の歯が多い方にもエアフローは有効です。
歯の着色が多い方は、着色をとる際に超音波スケーラーを使用することにより、歯面が傷ついてしまいます。
そのため、歯のクリーニングを行う度に歯が傷ついてしまい、着色が再度つき易くなるという悪循環になってしまいます。
セラミックやインプラントの被せ物は、ご自身の歯よりもツルツルして汚れも付きにくく、着色しづらい材質ですが、時間の経過と共に少しずつ着色してきます。
そのような場合に、超音波スケーラーを使ってしまうと、セラミックやインプラントの被せ物に傷がついてしまい、再度着色が付きやすくなってしまうため、エアフローにて傷をつけずに着色を落とすことをお勧めします。
着色が元々つき易い方は、後々の着色が出来る限り付きづらく、歯のクリーニング時に歯が傷つかないようにエアフローでのクリーニングを行った方が良いと思われます。
まとめ
今回は、歯科医院での歯のクリーニング時に、突然説明を受けてもよく理解できない場合もあるのではと思い、PMTCとエアフローについてお話させて頂きました。
次回は、着色の原因と私が考える理想的なメンテナンスとその方法、また最後に、PMTCやエアフロー、定期メンテナンスを行っている方に必ず知っておいて頂きたい注意点がありますので、それをお話したいと思います。
最後まで、お読み頂きありがとうございました。
