都立大学萩尾歯科クリニック
                   
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Dr.HAGIO's 歯科ブログ

知ってほしいタバコによるお口の環境への悪影響

【監修・執筆】 萩尾 信輔
【監修・執筆】 萩尾 信輔 都立大学HAGIOデンタルクリニック院長・歯科医師

はじめまして、都立大学駅前で歯科医院を開業している、歯科医師の萩尾信輔です。

喫煙には、肺がんのリスクだけではなく、心筋梗塞や狭心症、脳卒中など、様々な健康被害を引き起こすリスク因子となっていることは既にご存知の方もいらっしゃると思います。

しかし、喫煙はそれだけではなく、歯周病にも大きく関係しています。
そこで、今回は喫煙がお口の中に及ぼす影響についてお話させて頂きたいと思います。

 

 



タバコに含まれる有害物質

タバコの煙の中には数千種類もの化学物質が含まれています。

その中の有害物質は約200種類、発癌物質は約70種類と言われています。
この有害物質の中で代表的なものがニコチン、一酸化炭素、タールになります。


ニコチン

非常に依存性の高い薬物です。
タバコへの依存性を高める物質で、吸うとリラックスする効果があり、ヘロインやコカインなどの麻薬より依存度が高いとされ、禁断症状も強く現れます。

国際疾病分類では、医学的には「依存性薬物」として麻薬や覚醒剤と同列に扱われているため、タバコは嗜好品などではありません。

吸った瞬間に血管を細くしてしまう強い血管収縮作用があり、脳や皮膚、そして歯肉の血流を障害してしまいます。このことが、心筋伷塞や狭心症、脳卒中、歯周病に大きく関与しています。


一酸化炭素

一酸化炭素は酸素と比較して200倍以上血液中のヘモグロビンと結合しやすいです。

そのため、酸素と結合するはずのヘモグロビンが一酸化炭素と結合してしまうため、血液の酸素運搬能が低下してしまい、体の組織の酸素欠乏がおこってしまいます。

よって、酸素が必要な細胞の活動が低下してしまいます。


タール

タールとは、ヤニのことを指します。

タールは、『歯医者が考える理想的クリーニングと着色の原因』でも少しお話しましたが、タバコの煙からガス状の成分を除いたものです。

タールの中には有害物質や発がん性物質が多く含まれています。


喫煙は歯周病のリスクを高める

喫煙者は口臭やヤニが付く以外に歯周病になり易くなります。

また、気づかないうちにひどくなりやすく、治りにくいことが分かっています。

統計データによると歯周病にかかるリスクは一日10本以上喫煙すると5.4倍に10年以上の喫煙期間で4.3倍に上昇し、また重症化しやすくなります。


喫煙が口腔内に与える影響

タバコの煙に含まれる「一酸化炭素」は組織への酸素の供給を妨げ「ニコチン」は血管を収縮させ、体が酸欠・栄養不足状態になります。

ニコチンは体を守る免疫機能も狂わせるので病気に対する免疫力が落ちたりアレルギーが出やすくなります。

さらに、傷を治そうとする組織の働きまで抑制してしまうので歯茎の手術などの際に、傷の治りが悪くなり、感染しやすくなります。

また、ヤニという形で歯の表面に残り、歯面がザラ付き菌が張り付きやすくなります。


ニコチンの血管収縮作用

血液の流れが悪くなり酸素や栄養素が欠乏します。

血液には、白血球などの免疫細胞を運ぶ役割があります。

特に、歯周組織再生療法やインプラント等を行う際に、血液の供給が妨げられることにより、傷の治りが悪くなるため、予後が悪くなってしまいます。


白血球機能の抑制

喫煙により白血球の防御機能が抑制され歯周病菌が繁殖しやすくなります。


歯肉の繊維化

喫煙者の歯肉血管は細くなっているため、歯肉が炎症しても出血せず歯周病が発見しにくくなります。


歯肉修復機能の低下

歯周組織の修復機能が低下するため、治療しても治りにくくなります。


歯茎の着色

たばこを吸っている方は、歯茎にメラニン色素の沈着が起こり、歯茎が茶色く変色してきます。

この着色は、歯科医院にて取り除く事が可能です。

詳しくは、『知って安心!歯茎に起こる着色の種類と原因』、『歯茎のホワイトニング?ガムピーリングについて』でお話しておりますので、ご興味のある方は、こちらの方も合わせてご覧下さい。


禁煙効果

禁煙することで歯周病リスクが下がることが研究で解っています。

歯周病のかかりやすさは40%も減ります。

手術後の治療経過も禁煙者は非喫煙者とほとんど差がなくなります。


受動喫煙によるご自身の周りの方への影響

一般的に小児・胎児に対する受動喫煙は気管支喘息など呼吸器疾患、中耳疾患、胎児の発育異常、乳幼児突然死症候群、小児の発育・発達と行動への影響、小児がん、さらに注意欠陥多動性障害などの危険因子となります。

同時に受動喫煙により歯周病、小児う蝕やメラニン色素沈着のリスクが高まることも解っています。


まとめ

今回は、煙草が、お口の環境に与える影響とそれによって起こる歯の着色や歯茎の着色、歯周病への関連性についてお話しました。

お口の健康を考慮した上での、歯科医師の意見としては、やはり禁煙を強くお勧め致します。

ニコチンは依存性が高いものですので、簡単に辞めることは難しいと思いますが、禁煙により得られるものはとても大きいです。

歯を失ってしまう前に是非禁煙にトライしてみて下さい。

また、たばこによる悪影響について若い方にも知って頂き、たばこを吸い始める方の数が少なくなっていって欲しいと思っています。

次回は、新型タバコの加熱式タバコ、電子タバコの歯や口腔内への影響についてお話したいと思います。

最後までご覧頂きありがとうございました。


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